河童亀たん(小頭町)
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※翁・筑紫野民譚集412
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昔、小頭町に亀たんち言う百姓が居った。ある夏のこつ金丸川ん馬つけ堀に馬つけち、自分な土手ん
草ば切りよった、ところが馬んあばれでーち岸さん飛び上った。見っと馬ん尻っぽに河童ん奴がブラ下
っとる。亀たんな鎌振り上げち河童ば追い払うた。「悪さすっとたたっ切ぞ」。こん見幕に河童は尻っ
ぽば離ねた。ばって河童が亀たんばナメたつか、角力ば一ちょ取ろうぢゃなかか、ち言う。「河童とど
ん角力が取らるるか、宮角力ぢゃ亀の山ち言われよっとに、畜生とはとらんぞ」ち言うたら「そげん言
わんな一ペンで良かけ角力とってくれ、おりが負けたならおまいげん者にゃ絶対悪させんけん」。そっ
で亀たんも「そんなら」ち言うて角力とったが、亀たんの相手ぢゃなか、コロッちひん投げらるる。と
ころが川から次の河童ん奴が出て来て、そりが次から次ぢゃもんぢゃけもう亀たんもくたびれっしもた
。そこで今日はこんくれで良かろち馬引いて帰ったが、その晩から大熱のさして寝込うだち言う。そり
から「小頭町の河童亀たん」ち有名なった。亀たんにゃ河童ん見ゆるけ、まーだ他にいろいろ面白か話
のあるばって後でしゅうたい。
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