牟田山左工門狐 (南町)
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※市誌上338
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昔、牟田山に、牟田山左エ門ぢ醜名(シコナ)んついた、狐ん居ったげな、人ば誑(タブラカス)か
すとん上手で、ほんに近所ん者な困りよったち。ある時武者修業で通りかかった侍がこん話ば聞いて、
畜生の身で人間を誑(ナブル)るとは言語同断。一つ俺が成敗してやろうち言うて山に入って狐ん巣ば
探し回りょった。そしたら向うん方で落葉ば掻き集めち、頭にパラパラひっかぶせち遊びよる小狐ば見
つけたもんぢゃけ、ジーッと抜き足、差し足で近よってパッと斬りつけた。と狐はサーッと次の小山さ
ん逃げて行た。侍や「失索(シクジッタ)たり、なれどいでこの次は」と追かけた。そりば見た狐はそ
この草茸小屋にポンち隠れてしもた。侍やしめたち小屋ん入口ば探したが入口んなか。ようよ小まか節
穴んあったけ、そっから中ばのぞきこうだが真暗で見えん、両手で節穴ば広ぐうでちした時「危かっ」
言う声んしたと同時に馬から蹴られてのけぞってうっ倒れた。侍ゃ牟田山左工門に騙れち馬ん尻の穴ば
ほじくろでちしたっぢゃったげな。
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