福祉・高齢化社会への対応

健康診断

本村の福祉施設としては、昭和四十九年に基 幹集落センター、五十年に老人浴場、五十一年 に老人憩いの家、五十八年に飯干研修センター が建設された。特に集落センターとこれに併設 されている老人浴場、老人憩いの家は、平成元 年度から社会福祉協議会に管理運営を委託して 研修、交流の唯一の場として広く村民に活用さ れてきた。

昭和六十三年に完成し、役場庁舎に併設され た中央公民館の利用度が増え、これまで過密ぎ みだった集落センターの利用にゆとりができ、 福祉事業の拠点としてより多様な利用が可能に なった。

本村の高齢化率は、平成三年四月一日現在二 四・二パーセントで、国・県の平均値の二倍強 の高い数値を示している。

このような状況の中で、高齢者の一人暮らし や夫婦のみの老人世帯が増加し、本村の大きな 問題である。平成三年四月現在で、一人暮らし の老人世帯は四十二世帯で、全世帯の六・二五 パーセント、夫婦のみの老人世帯は八十六世帯 で一二・八パーセントにのぼり、合わせて全世 帯の約一九パーセントになっている。およそ十 世帯のうちに一世帯の割合で一人暮らしか夫婦 のみの老人世帯になっている。これからもこの 傾向はますます高まることは明らかである。

そこで村としては、老人世帯の居住機能及び デイ・サービスを有した高齢者福祉センターの 建設が計画され、平成三年度中に完成すること になっている。

この高齢者福祉センターを核として種々の施 設を整備することにより、高齢者が安心して住 める村として、また若者の就労の場として高齢 化対策を推進している。

民生委員・児童委員の活躍

民生委員・児童委員は、社会奉仕の精神を もって社会福祉の増進に努めるものであり、そ の職務は低所得者の自立更生の援護、老人、身 体障害者、児童、母子、精神薄弱者等の福祉向 上及び公的社会福祉施策への協力等広範にわ たっており、精力的に活躍している。

本村では昭和二十三年九月一日、矢部村民 生・児童委員協議会が設立された。当初は村議 会で任命された男性八名、女性三名の計十一名 で構成され、矢部村役場社会課(のち住民課) 職員一名が事務局員として配置された。

当時は終戦直後であり、生活困窮者、母子寡 婦家族の援護はもとより、戦争未亡人や引き揚 げ者の援護も大きな仕事であった。また、当時 は結核患者も多く、結核療養所に収容しきれず 自宅療養も多かったので、ケース・ワーカーと 訪問して、伝染病対策にも協力を得ていた。

現在、民生委員、児童委員は十三名で構成さ れ、福祉行政の先頭に立って地域福祉の充実発 展に努めている。

老人福祉事業

○ 老齢年金

昭和三十六年国民年金制度の発足以来、老齢 福祉年金受給者及び給付額は別表(1)のとお りである。人口の減少とは逆に年金受給者は 年々増加し、年金に関しても高齢化社会を如実 に反映している。

○ 長寿を祝う会

村内の七十歳以上の高齢者を対象に村の行事 として、毎年九月十五日の敬老の日に「長寿を 祝う会」を行い、高齢者の表彰、記念品の贈呈、 青年団等の演劇、婦人会の奉仕活動によって手 づくりの祝う会を実施している。

平成三年四月一日現在、七十歳以上の高齢者 は男百五十一人、女二百六十一人、計四百十二 人で、その中で最高年齢者は男性九十六歳、女 性九十九歳である。

 最高齢者   男 江田常吉氏 大字矢部二ツ尾      明治二十八年四月四日生                (九十六歳)   女 月足フサノさん 大字北矢部笹又      明治二十五年一月十四日生                (九十九歳)

〇老人憩いの家

本村の福祉施設は、昭和五十一年に建設され た老人憩いの家が唯一つあるのみで、併設され ている浴場及び基幹集落センターと相まって多 くの高齢者が毎週火曜日と金曜日の週二回ふれ あいと憩いのオアシスの場としてフルに利用さ れている。

老人家庭奉仕員制度

在宅福祉の必要性が問われている今日、在宅 福祉の三本柱のひとつである老人家庭奉仕員 (ホーム・ヘルパー)の任務は、ねたきり老人 の介護等その重要性が高まっている。

本村では、現在一人のホーム・ヘルパーが八 世帯のねたきり老人等の訪問、介護に当たって いてよろこばれている。

身体障害者福祉

矢部村の身体障害者数は、次のとおり百十九 名である。

 等級 人数   一級 二十二名   二級 六名   三級 二十名   四級 二十五名   五級 二十七名   六級 十九名    計 百十九名

なかでも一級の重度障害者二十二名のうち、 腎臓機能障害者、心臓機能障害者が約半数を占 めている。身体障害者の自立更生のためにあら ゆる関係団体と連絡をとりながら事業を進めて いる。重度の身体障害者には国・県と一体と なって医療費の給付や身体障害者福祉協議会へ の村の助成金、福祉協議会金行貸付を行ってい る。

また、精神薄弱者は主に各種施設に入所させ、 精神薄弱者家族会への助成金や保健所と一体と なってデイ・ケアを実施している。

母子、寡婦福祉

母子、寡婦福祉会は、母子家庭十二世帯、寡 婦家庭四十八世帯の計六十世帯で構成されてい るが、近隣の町村に比べて割合が高い。

福祉会の福祉更生のため、村から助成を行い、 また自立促進対策として母子寡婦福祉基金の貸 付等が行われている。

国民年金

国民年金制度は、老齢、障害、死亡などの事 故によって国民生活の安定が損われることを防 ぎ、健全な国民生活の安定維持向上に役立つこ とを目的としている。

昭和三十六年に制度が開始して以来、矢部村 の被保険者は年々減少し、平成元年度は八百人 となっている。これに対し年金受給者は高齢化 とともに増加し、老齢、障害、遺族、老齢福祉 年金の受給者は六百六十三名、受給総額二億六 千七百万円となり、住民の福祉向上に大きく寄 与している。
別表(2) 被保険者・保険料納付額・検認の状況、
別表(3) 国民年金給付状況

別表(2)被保険者・保険金納付額・検認の状況 スクロールしてご覧ください
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国民健康保険事業

国は昭和三十六年「国民皆年金、皆保険」を めざし社会保障制度の充実に力を入れてきたが、 昭和四十三年の全被保険者七割給付の実現など 国民健康保険制度は着実に発展、充実の途をた どってきた。さらに五十七年からは老人保健法 の施行、また五十九年から退職者医療制度が創 設され今日に至っている。

しかしながら、現在人口の高齢化と医療技術 の高度化等によって国保財政を圧迫しているこ とは大きな問題である。

本村の平成二年度の一人当たり医療費は、一 般分(若人、退職者)が十四万千五百九十七円、 老人分四十五万三千七百七十一円となつている。 一方保険税は一人当たり四万四千四百九十四円、 一世帯当たり十二万九千百五十八円となってい る。

医療費の適正化を図るための啓発指導を行う とともに、各種検診等への受診を勧め、 「早期発見、早期 治療」「自分の健康は自分で 守る」ことに努めており、そ の効果は徐々に浸透してきて いる。

保健医療事業

一、診療施設
矢部村斎場

矢部村斎場(小草)

昭和五十九年四月までは、 内科二、内科外科一、歯科一 の医院があったが、現在では 内科外科一、歯科一となって いる。

人口等からすれば充足して いるように思われるが、長期 的には医師の高齢化等心配も ある。また緊急時には医師不 足も想定され不安な面もある が、昭和四十八年から広域消 防組合の救急車を配備し、重 傷病者等緊急時の対応に当たっている。

専門的な医療機関は、黒木町や八女市まで行 かなければならず、総合病院としては八女公立 病院が一部事務組合として運営されており、改 築に伴って診療科目の充実が図られていること は、広域住民の医療に対する不安が解消される ことで喜ばしいことである。

村内の無医地区対策としては、患者の輸送手 段として昭和三十九年度から患者輸送車を配備 して週二回の患者輸送を行っている。

二、斎場の新設と霊柩車の設置

旧火葬場は昭和三十九年に改築されているが、 立地条件も悪く、老朽化もすすんでいたので、 移転改築が望まれていた。

昭和六十一年十二月、景勝の地小草に周辺住 民の理解と協力を得て、無煙、無臭の近代的な 火葬炉を整備した斉場が完成した。

また斎場の新設に伴い霊柩車を購入し、六十 二年一月より運行を開始し、遺体の輸送に当た っている。