現在の矢部村商工会 |
昭和三十五年六月、「主として町村における商工業の総合的な改善、発展を図るための組織として商工会を設け、併せて小規模事業者のための措置を講じ、国民経済の健全な発展に寄与すること」を目的とした「商工会の組織等に関する法律」が成立し、小規模事業者に対する施策が推進されることとなった。
このような状況の中で、本村でも商工会設立の気運が高まってきたが、諸般の事情により実現されず、七年を経過してしまった。
昭和四十二年、補助金交付要綱などの条件が緩和されたのを機に、小規模事業者の自助努力だけでは経営基盤の整備・確立は困難であり、大同団結による組織力によって経済的地位の向上を図り、併せて技術の改善、経営の合理化、資金の確保、税金問題、その他経営環境の悪条件の解決を図るため、再び商工会設立の気運が高まった。
そこで、昭和四十二年七月、矢部村商工会設立準備委員会および発起人会が結成され、発起人総代に大渕民蔵氏を選出し、設立の第一歩を踏み出したのである。
数回にわたる発起人会等を開き、その間県当局、県商工会連合会および村当局の適切な指導助言を受け、地域商工業者の一致協力の態勢ができたので、県知事に対して設立認可の申請書を提出した。同年十一月二十二日に設立認可を受け、十二月四日、登記を完了し、ここに事実上公益法人「矢部村商工会」が発足したのである。
商工会青年部婦人部結成10周年式典 | 矢部まつり |
この制度は、商工会が行う会員の経営全般の相談・指導体制を強化し、企業と商工会のパイプ役として、商工業者の中で小規模事業についての知識と熱意、そして経験の豊富な人で構成し、その任務を果たしてもらうのが目的である。
昭和四十九年四月、県の単独補助による商工振興委員制度が設けられたのを機に、矢部村商工会は、各地区から三名の委員を委嘱して発足した。
昭和五十三年十一月八日、矢部村商工会青年部が結成された。
昭和五十六年、「商工会法」の一部改正に伴い、社会一般の福祉の増進に資する事業が新たに加わり、青年部も福祉事業に積極的に取り組むこととなった。交通遺児基金、中国残留孤児基金、中国帰国者自立基金、盲導犬協会基金などの募金活動や献血運動などを実施している。また、昭和六十一年から奥日向神キャンプ場の委託管理を行っており、年々利用者も増え、将来に大きな期待が持てるようになってきている。
昭和五十四年二月、地域商工業に従事する婦人の特性を生かし、商工業事業に積極的に協力し、経営に対する生きた知識・技能を身につける研修を行い、地域商工業の発展に寄与することを目的として矢部村商工会婦人部が結成された。
婦人部は青年部と合同で、観光事業の一環として村内観光地の清掃美化の奉仕作業を年数回実施している。また、矢部村を内外の多くの人々に紹介するとともに、矢部村特産品のPRのため、商工会ふるさとフェアー、九州むらおこし物産展、矢部村の各種物産展に積極的に参画している。
しゃくなげ祭 |
矢部村商工会は、昭和四十二年創立以来、二十二年間にわたり、矢部村中央公民館の一部を借用し、地域商工業者の育成と地域経済振興事業に携わってきたが、商工会事業の推進や商工業者の相談・指導の場・情報提供の場としては手狭であった。
昭和六十二年に矢部村役場庁舎と中央公民館が完成し、それを機に商工会館の移転、新築の気運が高まった。理事会において会館建設の決議がなされ、数回にわたって具体的な協議が重ねられた。その結果、通常総会において、商工会館建設案が満場一致で可決、承認された。
ただちに村当局に建設補助金および村有地の借用の陳情書を提出し、九月の定例村議会で承認された。
昭和六十三年五月、第二十一回通常総会において建設計画の経過報告、建設計画書および特別会計収支予算書が提出され、満場一致で可決された。
平成元年三月、県、村、県連の支援と会員の協力によって長年にわたる念願であった商工業者の唯一の総合的指導と研修の城、核としての商工会館が竣工し、落成式を迎えたのである。
会館内積 百七十三、二八平方メートル 構造 木造瓦葺 二階建 総工費 三千四百万円
歴代商工会長
初代会長 大渕民蔵 二代会長 中島信雄 三代会長 高山三郎
商工会では、地域の小規模事業者の経営や技術の改善向上を促進するため、経営指導員をおいて相談や指導・助言を行っている。これは、地域商工業の総合的な改善と健全な企業の育成を目的としたものである。
経営指導員が窓口で相談を受ける窓口相談と直接事業所を訪問する巡回指導を行っており、その内容は金融、税務、経理、経営、労務、取引など広範囲にわたっている。
事業活動の内容 1. 経営に関する相談指導 2. 講習会、講演会等の開催 3. 記帳指導、事務代行 4. 保険事務などの代行 5. 情報の提供 6. 共済事業 7. 検定試験 8. 意見聴取・意見交換活動 9. 社会一般の福祉増進に資する事業 10. 社会奉仕活動
小規模事業者は、企業体質や担保力など弱く、資金の借り入れがスムーズにいかないのが実情である。そこで、国では商工会が行っている経営改善および事業の経営指導を金融の側面から補う目的で、必要とする小口資金を無担保、無保証人、低利で融資する制度を導入している。これには商工会長の推薦が必要である。