第二十二番  有水山  板東寺  天台宗
筑後市熊野1012-1

    
 板東寺は桓武天皇の勅願所で、延暦三年(784)、伝教大師最澄によって開かれた。伝教大師は紀州熊野本宮より勧進し、自ら薬師如来を刻んで本尊とされたと伝えられている。元弘三年、板東寺は全焼し、このとき熊野三山より伝授された縁起書や記録、寺宝の大半が灰燼と帰した。後の永禄七年(1565)大友宗麟によって再興されたが、天正十二年(1584)の大友・竜蔵寺の戦いにより兵火にかかり、再び焼失。慶長年間に田中筑後守吉政の手によって再建された。しかし明治二年の廃仏毀釈の嵐によって廃寺となり、明治十二年に再興されて今に至っている。
 境内に入ると大きな板東寺石造五重塔が建っている。この石塔には貞永元年(1232)の銘があり、筑後地方最古の在銘塔として有名。鎌倉様式を伝える貴重な塔であり、県の文化財に指定されている。
ご詠歌  うちつれて のぼるやさかの ひがし寺 まいる心ぞ 楽しかりけり


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