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ポツポツと木々が芽吹く頃、小石原は春 景色に包まれます。 新芽の淡い緑は、絵の具ではとても表せ ないほどの美しさ、山里は素朴な彩りに 輝きます。 タラの芽やワラビ、ゼンマイなどの山莱 摘みも、そんな春の楽しみです。 そして小石原の花暦をめくってみると、 2月末の梅に始まって、サクラ、菜の花、 シャクナゲ、ツツジ、ドクダミの花と続きま す。 特に山の斜面をピンクや赤に染め上げ るシャクナゲは1万本にも及び、行楽客の 目を楽しませてくれます。4月中句から下 旬頃が真っ盛りです。 また、春に終わりを告げる頃、白く愛らし く咲くのがドクダミの花。山間に足を踏み 入れると、そこは一面、白いジュータン。 名前からはとても想像できない可憐さが、 気持ちを和やかにしてくれます。 小石原の春は、都会にはないやさしい色 に満ちています。 |
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小石原の夏は、自然と遊ぷ絶好の時 期。子供たちは森で昆虫を追い、釣り人 はヤマメやハヤをねらって川に釣り糸を 垂れます。 夜は清流に光の乱舞。6月上旬から下 旬にかけてゲンジボタルが鼓川(大肥 川)の上流を飛び交います。 カジカの声も高らかになる夏真っ盛りに は、平地より気温が3度ほど低い小石原 は格好の避暑地といえます。 天を突くように伸びる杉木立が木陰をつ くり、さらにさわやかにしてくれます。 生まれたままの自然には、例えばカブト ムシ、クワガタ、カミキリムシ。オオムラサ キやキアゲハ、アオシジミ、アカタテハなど のチョウが棲み、セミしぐれもにぎやかで す。 家族そろってハイキングを楽しんだり、川 遊びをしたり、村全体がまさにネイチャー ランド、自然相手の遊びの宝庫なのです。 |
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避暑地の夏が過ぎ、9月下句ともなれ ば、小石原は朝夕がとても涼しくなりま す。 早い秋の訪れ、コオロギやスズムシ、 マツムシの鳴き方も次第に遅く感じられ、 そして、やきものの里・皿山の登り窯か ら立ちのぽる陶煙も一層白くたなびきま す。 皿山周辺にはススキが揺らめき、棚田 には稲穂が黄金色に輝きます。 稲刈を終える頃には、栗が実り、ナナカ マドやカェデ、ハゼが美しく紅葉します。 秋の小石原は様々な色に彩られ、しっ とりとした風情が漂います。 10月中旬の民陶むら祭りを終え、収穫 の喜びを分かち合う11月下旬の小石原 ふるさと秋まつりを迎える頃には、そろそ ろ冬支度。山里全体がひっそりと静まり、 冬の足音だけが響いて来るようです。 短い秋。 しかし、山里を美しく豊かに染める季節 なのです。 |
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英彦山の初冠雪を聞くと、小石原にも 木格的な冬がやってきます。 窯元も農家も眠りにつくようにひっそり と作業をし、シンシンとした寒さが山里全 体を包みます。 冬の小石原の楽しみといえば、満天の 星空を眺めることもそのひとつです。 都心部と違いネオンなどの光害がなく 星座観測にはぴったり。自前の天体望 遠鏡や双眼鏡を持ってやってくる人たち も少なくありません。 また、雪景色の美しさも小石原の冬な らでは。全村が30-40pの積雪で覆わ れることもあり、家々の軒先にはつらら氷 柱が下がることもあるのです。 杉木立に雪の白い花が咲き乱れる、そ んな景色もまた情緒があるようです。 キーンと冷たい空気が張り詰める冬の 山里。人も昆虫も小動物も烏も息をひそ め、星空だけが美しく輝きます。 |