3つの滝と幻の滝


全国水源の森百選に選ばれた巨瀬川が流れる「滝のある水源の森」。その中にある高さ27mの勇壮な滝の流れを持つ調音の滝は、江戸時代に有馬藩主頼永の妻、晴雲院があまりにすてきな滝の調べに聞き惚れて「調音の滝」と名付けたという言い伝えがあります。

有馬藩主の奥方が
聞き惚れた調べ

上流にはどんな魚ものぼれないといわれる「魚返りの滝」、「斧渕の滝」と3つの滝が続き、春の新緑、秋の紅葉と、四季それぞれの表情を見せてくれます。6月の第二日曜日が滝開き。夏は400食でる日もあるという浮羽名物そうめん流しや流水プール、キャンプ場へと年間5万人の人が涼を求めて訪れます。「滝の谷」といわれる妹川地区では、平成3年の台風17,18号による「風倒木被害」の際に、妹川活性化推進協議会メンバーによって、長老に語り継がれていた幻の滝「三重の滝」の他、4つの滝が発見されました。夏は清流にしかいないという、かじか蛙のすきとおった声が谷間に響きます。

上/歴史あるうきはの麺を清水へと流す、 いともぜいたくなそうめん流し。 右/調音の滝。

●平家伝説の里

二位尼が身を隠した平家伝説の谷

壇ノ浦の戦いに敗れた平家の一隊が二位尼を中心に、安徳天皇を奉じて筑後川から更に巨瀬川をさかのぼり、妹川の元有付近に至り、調音の滝の南にある山(平家ヶ城)にひそかに城を築き、平家再興の時期を待ったといわれています。この地区を「小坪」と呼んでいますが「お局」からついたといわれ、 その道路横には二位尼を葬ったといわれる「お局の墓」があります。下流の樫ヶ平の水天宮には、安徳天皇と二位尼が祀られ、九十瀬入道という神が妻の尼御前と合う時には風雨がわきおこり洪水をおこすといっ言いつたえがあります。九十瀬入道は平清盛で、尼御前はニ位尼だとか。久留米の水天宮と河童伝説との関係も深く、その昔子供たちは河童にひかれないように、この水天宮のお守りを篠の管に入れて首につけていました。


●妹川の六地蔵

泣き牛を元気づけた湧き水

昔、妹川元有に国武利八定次という人がおりました。この人はたいへん信仰心が厚く、30年の間に含瀬耳納、笹尾、小坪、教徳寺上り口とその境内、牛鳴峠にと有元を中心に大きな石地蔵を六体建立しました。そのうち牛泣峠の石柱が今は歴史民俗資料館の前庭に建てられています。 石柱には「筑後州箕山牛泣清水碑」とあり、筑後国星野の人が屋部の熊野神社に参拝し、帰りに神輿を牛に乗せて、この峠を越えようとした折に、荷の重さと急な坂に牛が涙を流して泣いたので供奉人はあわれに思い、岩の問から湧き出ている清水を飲ませたところ、牛は元気づいて峠を越えることができたと刻まれています。

妹川の六地蔵。六地蔵というのは仏教で言う六道、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人道、天道の、それぞれの衆生の苦悩を救済する六種の地蔵菩薩さんのこと。


NEXT BACK TOP