5月になると数万引きが乱舞するほたるの名所として知られる小塩地区。「地元出身者がいつか帰りたいと思う古里でいたい」という願いをこめて、11月には「小塩ん村の秋祭り」が行われ地元の農産物を求めて多くの人で賑わいます。
やがて12月になると、宵闇とともに、玄関や軒先、木にとりつけられた3万個の電球が一斉に光り始め、思い思いの光のかたちが8kmにわたって連なります。地元の人が「冬もホタルが飛び交うようにしよう」とはじめたイルミネーション点灯は、今や隣の日田市にまで広がりました。この「冬ボタルは、お正月に里帰りする人たちを迎えるため、年を越して1月まであたたかく光っています。
小塩の佐藤好英さんの手づくり山庭『さんだい』は、敷地面積6600平方メートルの中に、祖父の代から三代かけて植えられたつつじ数千本とシャクナゲ・ショウブが競演する庭です。 自宅も檜皮葺、瓦葺き、コンクリートづくりと三代それぞれ。土蔵の壁を勇壮な獅子や、松と鶴の鏝絵(しっくいによる立体絵で左官の伝統的技法)が飾ります。土蔵を改装し収集してきた一の瀬焼の絵皿や民具を展示する、「さんだい展示館」もあり、80年の歴史を持つこの花咲く庭は、97年に第7回全国花のまちづくりコンクールで優良賞を受賞しました。