SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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登校路 | ||
その頃は諏訪野町の一丁目から三丁目のにきゃ西野中ち云よった。その辺な家でん何でん なし、広か田畑ばっかりで、土壁小屋どんが点点あって、櫨どんがあっちこっち生えとった もんの。 いつか学校に行きよったりゃ、その土壁小屋に宿しとったほいと(乞食)どんが火事焼き出し て、自分だん、何じゃり鍋んごたる物どん引っかるうて、どんどん逃げて行きよっと、後か らその土壁小屋ん持主が、「こーん畜生っ」ち云うてドンドン追いかけて行ったこつんあった。 あの辺な国道は通っとるばってん人通りも少のうして、さびしかとこじゃった。 一丁田からお諏訪さんの南の方迄も何んなかった。足形堤のそばの畑ん中にも土壁小屋のあ って、そりにも「ほいと」どんが宿しとりょって、朝学校に行きよっと、ようそこの「ほい と」どんが米どんしようけに入れて足形堤で洗よった。朝ご飯じゃっつろたい。 |