SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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長崎みやげ、ラムネ | ||
安兵衛ちゃお祖父っつあんの乳母の娘聟じゃった。安兵衛がどうしてか戸籍はらわれて、無 籍になっとったげなけん戸籍のこつで何べんでん裁判所に行きよった。そのたびに長崎から 久留米に来にゃんけん、うちさん来て泊りょった。 安兵衛は長崎で子供向けのお菓子どん商なよったごたるふうで、来るたんびんに、ほんな少 しづつばってん、気は心じゃっつろたい、珍らしかつばお土産ち云うて持って来よった。久 留米にゃ無かもんばっかりじゃん。 何か四角にかたまっとっとば、水に入るると、シューちラムネんごつ噴き上ぐる、懐中ラ ムネち云うとじゃっつろか、そげなふうなもんば持って来てくれよった。初めて飲んで美味 しかった。落花生も初めてじゃった「ほんに美味しかーこりゃ」ち思よった。 落し焼も焼き よったらしぅして、安兵衛がブリキ屋に行って、焼き釜作らせて、焼き方教えて焼いて呉れ たけん、そりからうちでよう焼きよったが、やっぱ馴れん者の作ったっで、どこかどうか工 合のわるかとこのあったじゃろ、炭ばっかり要ってよう焼けじゃった。 福岡に行って博多駅でラムネのあるけん、飲もうち云よったりゃ、汽車の出るち云うもん じゃけん、どうしゅうかち思よったりゃ、飲うで空びんな汽車ん中に置いときゃ良かちぅこ つで、飲うだが、妙な硝子びんて玉んゴロゴロ動いて。ほーうち思うた。 |