SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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金平糖 | ||
頂き物ちゃくさい、明治ん大水害ののち、放水路作るごつ此辺な、運動んありょったたい。 久留米もそんときの運動に、三谷有信さんの東京に上んなさったこつんあって、お父っつぁ んも、三谷さん達と一緒について行きなさった。 そん時、みんなで、有馬さんのお屋敷に伺 候して、殿様にお目通りして来なさったげな。そして殿様から農業のこつてん何てん、いろ いろお父っつぁんにもお尋ねがああったげなが何せお父っつぁんも二十代の若さで、殿様ち 云うとこで、かしこまってしもて、思うごつ御返事も申上げられなさらじゃったげな。今な ら何でんよーとお話し申上げて来るばってんち、後笑うて、話しなさったこつんあったたい。 そん時殿様から頂いたっち云うて、誰でん食べもせんで、金平糖の大粒のつばお土産に持 って来なさったたい。 その明治二十年代迄は殿様ちゃまあだ大切なお方じゃつたもんじゃけん、みんなで分けて 頂いたたい。有難かち思うて…。もうそん時ゃこっちにも金平糖は店にありょったばってん。 |