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初手物語
かなめ
「要」ちこの辺にある赤か芽の出る生垣用の柴は、もとはこの辺にはなかったもん。明治 の中頃お父っつぁん達の東京に旅行して、東京辺にゃ「要」ち云うて、赤芽ん出るほんに美 しか柴垣のあるばいち、帰って来て話しよんなさったが、間も無う此方にも来たらしぅして、 うちにも「要」の苗ばさし穂したりしょった。こっちん屋敷のぐるりてん、元の家の裏の畑 境にゃ一番ぐちに「要」ば植えたたい。日清戦争のすぐあとたい。
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