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    竹籠造り
   
  初手、下ん段の西側の福ちゃんの親父さんが竹細工ち云うてん大方しようけ(ざる)ば造り ょった。あたしが小学校頃いつかその儀平次ちいさん方に遊び行ったりゃ、ぢいさんが自分 のしようけ作り成った時ん話ばしたたい。「年も取らん先、神経痛で、だんだん足ん利かんご つ成って来て、どうしたもんかち心ぺー(配)しよったりゃ、御隠居様ん、上妻め行って、し ようけ作りば習わし、稽古に入る竹はどりしこでんうちん藪ん竹ば切って使わし、要るしこ (量)やるけんち、仰しゃんなさったけん、そりから上妻め行って稽古しましたったい。
お蔭でこげん足ん動かんごつなってん、ねーごっんなし暮されますたい」ち、儀平次ぢーさ んな其頃はいざりなってしもとったたい。

  ずっと初手んこつは知らんばってん、国分は藪だらけんとに、儀平次のしようけ作り始む るまぢゃ、一軒も竹細工屋は無かったげな。野中辺な昔から藪も多かったが傘ん骨かきん盛 んじゃったつに。国分は田畑ん人数に比べて多ばしあったもんか、竹でん竹ん皮でん他さん 売るばっかりじゃったたい。


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