初手物語[殿様と黒砂糖]

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		殿様と黒砂糖
		その頃のこつば中村の良さんの話しなさったこつのあったい。山川か山本辺り殿様の不意に出ておいって、庄屋かなにかの家にお這入りなったげな。不意のおなりで何でおもてなし仕様もなかもんじゃけん、切団子どん作って黒砂糖ばその上載せて、殿様に上げたげな。殿様にゃ、もうその頃は白砂糖しか、かねて上げよらじゃったじゃろけん、黒砂糖はご存知なかったらしうして、珍らしうして異国物ち思召したげなたい。お供しとんなさった良さんのお父っつあんの水城さんに、「この家はよほど裕福らしい、異国物など使うておる」ち仰しゃったげなたい。