SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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煙硝の瓶 | ||
うちの火事ののち、上ん段の蔵ば解いたとき、一尺五寸ぐらい高さの瓶のいくつか出て来たた い、中はどっでん煙硝の入っとるもん。お祖父っつぁんの砲術の稽古用にしちゃ多すぎるが、 どうしたもんじゃりち云いながら、あぶなかけん、お父っちゃまん下ん段にいくらーん深こう 穴堀らせて、バラバラにして埋めさせなさった。五十七、八年も昔んこったい。 のち石野義助さんてん佐々の武しゃん方てん、ご一新頃の事に詳しかお方たちと、その頃の話 ししなさったとき、そりゃ大方西南の役に役立ちうでち、お祖父っつぁんの納(な)わし込う どんなさったつばいち、云うこつじゃったげな。西郷さんの久留米まで攻め上って来なさった なら、久留米の旧家中の人達の中にゃ、それかたるごつ武器ば納わし込うどった人達の多かっ たげなたい。 |