SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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※長い髪の秘密 | ||
まあだ学校に行かん前じゃった。織屋の手間に上津荒木、日ノ隈のすぐ向う、から東吾ち云 うて来とらったもん。 そして東吾んかたあたり織屋の手仕事ば出しょったけん、いつか、おばやい連んなわれて、 括りほどきばしてもらうとば持って行った。そりから東吾ん嫁の「どうか、しゃまんおぐしの 美しさ、こげん長(な)ご伸(ぬ)びなさって」ち云わって、あたしが髪ば撫でつけて褒めらっ たたい。 そっで、あたしん、嬉しゅなって、「あのくさい、伯母さんのおぐしば切んなさったけん、そ りばおばやいの、にわかづけしてとっとらったつば、カモジ入れてやらったもん」ち云うたも んじゃけん、長ごして美しか髪ん仕掛けん知れてしもたたい。うち帰って、おばやいの「ほん に、にかわづけしてカモジ入れてやらったもんちまで仰しゃんなさるもんじゃけん」ちめった (滅多)笑いして話さったけん、誰でんどんどん笑うたたい。 伯母さんなほんに、おぐしの美しゅして長かったつば、鉄之助さんのおかくれたのち、後家 さん髪にして切んなさったつどんじゃなかつっろかち思うたい。ちょうど、その頃じゃったけん。 |