ムササビ 写真 安藤元一氏 | ムササビの飛行 |
リス科の一種で、矢部村ではソバオシキと呼ばれている。夜行性でおもに杉林で杉の葉を食べて樹上生活をしている。羽ばたいて飛ぶことはできないが、滑空して杉から杉へ数十mは飛ぶことができる。
普通猿の群れはオトナの雄猿が数頭で、リーダーの役目をしている。群れのほとんどは雌と子である。
雄の子は五歳ぐらいになると群れを離れてヒトリザルとして一匹か数匹で生活する。
矢部村で観察される猿(第3表)はヒトリザルである。
イヌ科、アカギツネとも呼ばれる。口がとがり体はほっそりしている。ほおと尾の先が白いのが特徴。
夜行性、ノネズミやノウサギを食べる。矢部村ではやや開けた場所に多い。
イヌ科、夜行性で夕方や日の出の時間帯によく活動する。雑食性で何でも食べる。
人家近くの杉林に生息している。最近たいへん多く見かけるようになった。(第3表)
キツネ(ホンドギツネ) 写真 増井光子氏 | |
タヌキ(ホンドタヌキ) 写真 大高成元氏 | サル(ニホンザル) |
イタチ科、夜行性でネズミ、ヘビ、ミミズなど動物食が主であるが、 矢部ではとうもろこし畑で見られることからも、とうもろこしも食べるようだ。 (第3表) タヌキに似ていることからよくタヌキと間違えられる。
夜行性、雑食性で鼻先やきばを使って土を掘りタケノコ、こんにゃく、カエル、ミミズ等なんでも食べる。イノシシの子は「うり坊」、「うりん坊」と呼ばれ、体にしま模様がある。矢部村では手負いのイノシシが民家に飛び込んできたこともある。
動物分布アンケート調査 結果 | スクロールしてご覧ください |
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イノシシ(ニホンイノシシ) |
ニホンアナグマ |
アカネズミ…上4匹 | |
キクガシラコウモリ | キュウシュウモグラ…左1匹 |
矢部村は自然環境がよいことから多くの種類の野鳥がいる。(第4表)
その中でごく普通に観察される鳥は、ホオジロ、シジュウガラ、ヤマガラ、カワラヒワ、ウグイス、ミソサザイ、メジロ、ルリビタキ、カケス、ヤマセミ、キジバト、コジュケイ等である。
ハトより少し小さく青緑色の体に赤いくちばしを持った美しい鳥でアジア東部からオーストラリアで繁殖し、日本に夏鳥として渡来する。
「ゲッゲッゲッ」と鳴く。「ブッ、ポウ、ソウ」と鳴くのはコノハズクでよく間違えられる。
矢部村ではじめて飯干の杉林に渡来してきているのを発見した人は、矢部村の野鳥研究家の椎窓均氏(故人)である。剥製が飯干小学校に保存してある。
ヤマガラ |
ブッポウソウ |
ブッポウソウ |
カワラヒワ | シジュウガラ | カイツブリ |
第四表 福岡県八女郡矢部村の野鳥観察記録一覧 | スクロールしてご覧ください |
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ヒヨドリ |
ホオジロ |
コジュケイ |
コサギ 写真 石井照明氏 |
カケス 写真 矢田新平氏 |
メジロ |
ミソサザイ 写真 菅原光二氏 |
ウグイス |
エナガ |
アカゲラ 写真 亀田龍吉氏 |
ホトトギス 写真 鈴木茂也氏 |
ヤマセミ 写真 嶋田忠氏 |
セキレイ 写真 久保敬親氏 |
モズ |
ジョウビタキ写真亀田龍吉氏 |
オオルリ 写真 中村正博氏 |
ミヤマホオジロ |
ルリビタキ 写真 石江 馨氏 |
キジバト 石江 馨氏 |
マガモ |
マムシの誕生 |
タカチホヘビ |
矢部の山にはマムシが棲息する。釈迦ケ岳・御前岳などの山麓の涼しくて湿った草むらは、マムシの生活に最適な場所なのである。
マムシは九州以北では唯一の毒蛇で、奄美大島に棲息するハブよりも毒性が強いといわれている。頭が三角形、体色は赤褐色に銭型の黒い斑点があり体長は五〇pぐらいでずんぐりしている。矢部ではヘラクチという。
マムシは卵胎生で秋(九月頃)卵が母親の体内で孵化して五、六匹産まれる。
また、矢部にタカチホヘビが棲息していることは特記すべきことである。
タカチホヘビは無毒で、体色は褐色で背中に一本の線がある。夜行性で落ち葉の多い浅い土の中に住んでおりミミズなどの土壌動物を食べて生活している。
矢部に普通みられるヘビは、アオダイショウ、ヤマカガシ(クチナワ)、カラスヘビ等である。
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釈迦ケ岳・御前岳に源を発する御側川の上流や矢部川の各支流にカスミサンショウウオがいる。
カスミサンショウウオは体色が灰褐色か暗褐色で成体は七〜一〇cm。3月ごろ二五〜六〇個ぐらいの卵を流れの緩やかな川に産みつける。卵からかえった幼生は外鰓をもち水中で生活をする。
おおきくなり成体になると落ち葉の中や浅い地中で陸上生活をする。夜間活動しヒメミミズや小さな昆虫等を食べる。
矢部川の各渓流にはカジカガエルがいる。カジカガエルはアオガエル科の一種で背が緑がかった灰褐色をしている。六〜七月頃雄は渓流の石の上でヒュルル……と笛を吹いているような声で鳴く。繁殖期以外は水辺の陸上で生活している。
イモリ(アカバラ)はため池等に普通に見られる。
くぬぎ林などで最も多く見られるのはカブトムシ、クワガタである。くぬぎの樹液に集まる。
最近しいたけ栽培用のくぬぎの腐木土にかぶと虫がたくさん卵を産みつけ多数発生するのが観察される。
ヒグラシが最も多く、七〜八月に現れカナ、カナ、カナと鳴くのでカナカナゼミともいう。ほかにニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミが多い。
@ヒグラシ Aミンミンゼミ | @カブトムシ(♂) Aカブトムシ(♀) |
矢部には国チョウのオオムラサキがいる。オオムラサキは幼虫のとき谷間の川の近くにあるエノキの葉を食べる。成虫は七〜八月に現れる。くぬぎの樹液に群がっていることが多い。高いところを飛ぶので見つけにくい。
カラスアゲハ、ジャコウアゲハ、サカハチチョウ、コミスジ、スジグロシロチョウは多く観察される。
そのほかコムラサキ、テングチョウ、クロセセリ、イチモンジチョウ、イシガケチョウ、アサギマダラ、
ルリタテハ、ツマグロヒョウモン、ダイミョウセセリなどがいる。
@オオムラサキ(♂) Aオオムラサキ(♀) Bコムラサキ |
クロセセリ | アオスジアゲハ | ダイミョウセセリ |
アカタテハ | イチモンジチョウ |
本項で使用した写真のうち、撮影者の氏名を記したものは、 山渓カラー名鑑「日本の野鳥」(山と渓谷社) 同「日本の淡水魚」(同)、 小学館の学習百科図鑑25「日本の動物」(小学館)より発行所および 写真家の許可を得て転載したものです。 |