SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語


    もぐらんえし
   
  一月十五日は"左義長"で、その前の日の夕方"もぐらんえし"ちしよったたい。あんまり大 きうなか釣竿の大っかつ位の竹ば切って、下枝払うて先の方の笹ば引きまとめ、竹の幹のそ ばまで、一尺位の長さに折り返して、そりば縄でしっかりぐるぐる巻にくびったつで、十四 日の夕方頃、子供どんが家のぐるりてん家のそばの野菜畑んあぜてんば、パターン、パター ンち叩きながら"ねぎだれこーだれ、十四日ん、もぐらーんえし"ち、どんどんおろうで叩い て廻りよった。あっちからこっちから子供のそげん云うておらぶ声とパターンパターンち云 う音の、暮れ暮れまで聞こえよったばってん、いまだんもうこの辺じゃせんごつなった。し ゅちち思うたっちゃ、初手んごつ、竹の無かごつなったけん。


前のお話へ  戻る      次へ  次のお話へ