SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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おくんち茶屋 | ||
さけ木ち云うて、のち輜重隊になっとったとこへんに、柳川往還ち云うて、昔の柳川さん 行く街道の通っとったたい。その道筋に、婆さんが茶屋どん出して、何じゃり草餅んごたる もんてん、駄菓子、いなりずしどん、少し出しとりよった。櫨ちぎりについて行った時だん、 寄りょったけん、よう知っとりょった。そのばばさんが高良山ぐんちのときゃ何時でん川原 (こうら)に掛け茶屋どん出しよったたい。 いまん営所の北側からとろとろ降りて行ったとこへんな、昔ゃ石ごろごろん河原んなかで、 あっちこっち水の流れて、端ん方から湧水のして、柳の木の大っかつのこう差しかかったご つ生えて、ほんに良かりよったもんの。 その水んチョロチョロ流れたりして、柳のさしかかっとる下にばばさんな店出しよった。詣 りがけにゃ家からあんまり近かけん「お寄んなさい、お休みなさい」ちゃ言はれんけん「お 帰りがけにどうぞ寄っておすけられ」ち云よったが、おくんちにゃおかちんてん、鯖の姿ず してん出しとったが、その茶屋んにきの景色は、あたしゃほんに好いとった。 |