SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
|
||
冬 至 | ||
冬至の時やくさい、麹断ちじゃけん麹で作ったもんな午後四時迄何でん食べちゃ出けじ ゃった。そっで朝は塩のおつけじゃん、お醤油もさすこつは出来(け)んけん、にーじんてん 大根てんかぶ菜どん入れて。 何時かまあだ、ばばさんの居んなさった頃、昼からこう退屈で、ばばさんの、お茶どん食 びゆうかち、おっ母さんに云いなさったけん、どこからかお饅(饅頭)貰うとったつのあった つで、お茶にしたりゃ、後で、こーりゃお饅にゃ麹の這入っとっとじゃったち云うたこつじ ゃった。 ばばさんなよう「お茶にどんしゅうかのー」ち云よんなさった。厳重に麹断ちする こつは、めったになかった。 どうゆうわけか、冬至にゃ南瓜食ぶるもんち云うて、冬至まで南瓜はいくつでん重ねて綱 できびって、小屋ん梁にどんさげてありょったが、その頃になるといっちよんおいしうなか ごつなってしまよった。 |