SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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履き物 | ||
村ん者な、かねては角(つの)結びの藁草履どん履きよった。竹ん皮緒の草履も履きよった。 畑仕事どんする時や大方はだしじゃったが、足半(あしなか)ち云うて、藁草履の足裏の土ふ まずのにきまでしか無かつば、はいとりよったこつもあったこたる。そげんとは、みんな自 分達で作りよったたい。夜なべてん、雨ん降るときてんに。 あたしも雨ん降る時や学校に竹ん皮緒の木履(ぼくり)どん履いて行きよった。布の緒は濡 るっときたなかけん。 よそゆきにゃ塗ド駄てんもありよったたい。女の子は、よそゆきにゃ、"カップリ"どん履 きよったたい。カップカップ云うてうれしかけん。大人物でん子供物でん、上等のよそゆき は、美しか小まか竹の皮表てん、藺表てんの付いとっともあった。麻裏草履ち云うともあっ た。麻ば平とう組紐にして、藺てん竹ん皮てんの表の裏に、つぐらもうたごつ縫いつけてあ った。ごめんち云うともあった。やっぱ藺てん、竹ん皮てんの表がついて、裏側の台は横に いくつも切れ目ば入れてあった。 高ぼくり、日和下駄んごたるとは、歯ばすげかゆるけん台のよかつは何年でん保(も)ちよ った。ばってん、国分はほんに石ごろごろん道の多かったけんよう下駄の損(そ)ぜよった。 初手は、仕事道具入れた籠(めご)ば荷のうて、「下駄ん歯直しやらん」てん、「ハガエー、 ナガエー」てんおろうで、下駄の歯替さんが来よったが、近頃はちーん声のせんごつなった の。 |