SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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屋根葺き | ||
ずうと昔しゃ、家中内も、藁てん茅葺屋根じゃったげなが、度々の大火で、瓦葺にしてよ かごつなって、瓦葺もだんだん多うなったっげなたい。 岡野はご一新後まで茅葺じゃったげな。殿様時代の終りごろ、その葺き代えんあったげな が、上郡から馬荷駄で何日でんかかって茅ば運うで来たげなたい。茅で葺いときゃ五十年、 一代一度、葺き代ゆりゃよかげなたい。ばってん何せ大ごつじゃったこつばかすかに覚えと るち、おっかさんの話しょんなさった。 この辺の村々はみんなんごつ麦藁屋根じゃったたい大っか屋根の家は葺くとに要る麦藁も ごーほなしこ要るもんじゃけん、二年分ぐらい藁ばためといて葺きょったこたる。屋根も、 両方の側の損ぜ方がちごて行くもんじゃけん。初は一辺に葺いた屋根も後にゃ、片側づゝ葺 いたりするごつなりょったたい。 屋根葺どんち専問の葺き屋さんも居りょったばってん、大がいの親父さん達ちゃ、ええ加 減にゃ自分達丈けでん葺きの出けよったごたった。屋根変えち云うと身内兄弟近所で手伝い 合うてしよったたい。屋根葺きにかぎらず、大工仕事、左官の仕事、専門のごつまでは出け んまでもみんなたいがいの親父さん達やしきりよったたい。そうせにゃ暮しが一々大ごっの けんでたい。 |