SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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天気予報のこと | ||
時間ばかりじゃなしに、お天気の具合てんな、初手は、どこか台所あたりのすけ石てんの しめり具合や何やで、雨近うなるてん、この雨はまあだ続くてん、晴るゝてんち云よった。 そりが、またよう当るこつが、いまの流行言葉の生活の智恵ち云うとじゃろたい。 天気予報のこつで面白か昔話のあるたい。 あるところに、ようお天気ば云い当つる百姓ばばさんがおったげなたい。当るこっが当る こっが、百発百中げなたい。そっで、ほーんに評判になっとったげな。いつかそりが殿様の お耳に達して、それは重宝ちうこつで、お召抱えになったげなたい。そして御城内に住むこ つになったげなけん、今迄んごつ汚れくさった着物着とくわけにゃいかんもんじゃけん、お 風呂にどん入って、拝領した着物ば上下さっぱり着替えたげなたい。 ところが、そりからち云うもんな、天気予報がひとつーん当らんごつなってしもたげな。 そりもその筈、汚れた下着てんな、雨近うなるとしとしとしてくるし、雨ん降りよってん晴 れ近うなると何やら乾いた感じになるけん、今までその婆さんな、そりば頼りでお天気ば云 い当よったつに、汚れた肌着てん、腰巻ば捨ててしもて、立派なもんに着換えて洗濯でん、 ようするごつなったもんじゃけんち云うこつたい。 |