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    駕 籠
   
  初手は、お駕籠に乗るとも、お城内てんご城下じゃ身分に応じて何やらきびしか規則のあ ったげなたい。旅行する者の乗る町駕籠てんな、また別じゃったふうばってん。

  うちは、ひいばばさんのお里あるきに、乗りよんなさった駕籠ちゅうて、倉の梁にどん吊 り下げてありよったが、木造の丈夫なもんじゃったが、塗は生うるしでぬって、あげんテレ ビてんに出てくるごたる金具のピカピカした黒うゐし塗てんじゃなかったたい。身分相応ち 云うとこじゃっつろ。山本はお駕籠は、黒うるしぬりの立派なもんじやったが、そりでん身 分に相応のもんじゃっつろたい。高良山の山かごてんな、ちょいと青竹ば割ったごたるもん で造ってあったが、普通の町かごは、どげなもんじやったじゃり、あたしどんがおぼえたと きはもう人力車じゃった。乗り合い馬車も走りよったが。


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