SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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戦争で死んだ人達 | ||
ますしゃんたちの一番下の妹おひでしゃんな身体の弱かったけん、四十才頃迄うちにおんな さったが、お嫁にに行くち伯父っつあんの常寛さんの聞きなさって「なんない、おひでが嫁 入るかの」ち仰しやった位弱かったけん終戦のとき、旦那んさん(陸軍軍医少将藤本砂喜) の、北朝鮮の端の方の陸軍病院長しとんなさったけん、ほんにあの弱か足でどうどんしよん なさるしゃりち案じよったりゃ、やっば途中で死んなさったち、いっしょに帰って来よった 女中さんが、帰って来て話ししたけん判ったたい。そりばってん、陸軍病院長さんの奥さん ち云うとこで、長春かあすこあたりの病院で大事に看病されて死んなさったげなけん。 まだしも良かったたい。砂喜さんな終戦直前、飛行機で満州の方さん行きなさったなりで、 八路軍かに捕えられて、軍医じゃったもんじゃけんでとうとう帰されんで.こりも亡うなん なさったげな。 佐々の真ちゃんも師団長てんなんてんじゃったもんじゃけん、部下のしたこつの責めば負 うて、中共で十六年も刑受けて、あと二、三年ちうごつなって胃癌じゃったげなたい。 真ちゃんばそげな目に追いやった部下もやっば自責の念から自殺したち云うこつげな。 |