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    国分村へ
   
  二代佐太夫さんな、兄さんの半井元仰さんの国分にその頃迄住んどんなさったけん、自分も 国分さん引っ込みなさった模様たい。元仰さんな、国分ん東の今の四百三番地、石割場にどん なっとるが、初手は深か薮じゃったとこに住んどんなさった。その薮の中に、泉水の跡てん井 戸てんの残っとりょって、元仰屋敷ち後まで云よったたい。

  佐太夫さんな国分に来て、どこに家建ちゅうかち云うこつじゃったげな。広々して見晴らし んよかけん、上ん段の薮(五百九十六番地)の東の方に建ちうかち云う話もあったげな。そり ばってん、村はずれになるけんやっぱ薮ん西側(五百八十一番地)が村中(なか)になるけん 良かち決まったげな。昔ゃ押込み強盗の多かったふうじゃん、村はずれは不用心ち云うこつ じゃったげな。藪ひとつでそげんちごうとりよったじゃろたい。


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