SNK >> デジタルアーカイブ >> 初手物語
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雲仙くづれ | ||
二代佐大夫さんのとき、雲仙崩れんあったげなたい(寛政四年三月)その頃(十二月)誰か街 道筋ば夕方ごろ.津波の来よるち云うてずうっと、おろうで(叫んで)走って行ったげなたい。 そっでどこでんびっくりして、どんどん高良山てん、山の方さん走って逃げ出して行ったげな。 府中(御井町)にゃ女がお湯に入っとったげなが、そげん津波ん来るち云うて、みんな山さん逃 げて行くげなもんじゃけん、たぐれ上って裸んなり逃げたげな。 いっまでたってん、ねーごつんなかもんじゃけん、みんなまたぞろぞろ帰ったげな。ばってんそ の女は丸裸でお湯から飛び出して来たつじゃったもんじゃけん、帰るだんになって、寒うして恥 づかしうして、どんこんしよんなかったげなたい。 そん時うちゃ、佐太夫さんの隈山の一番高かとこに登って見なさったげなばって、何の変った こつもなかったけん、逃げなさらじゃったげな。隈山の一番高かとこからは有明海の髪の毛引い たごつ一すじすーつと見ゆるし、雲仙山も見ゆるもんじゃけん。そん時国分の村で、何でん彼ん でん放うからかして、みんな高良山の方に逃げたなかで、逃げじゃったつは、うち一軒じゃったげな。 昔んこつで雲仙くづれの理くつも、津波ん理くつも、判らじゃっつろもんじゃけん、雲仙くづれ ち云ゃ、そーにその頃ん者なえすかっつろけんの。爆発の時ゃ、そーうに揺れたり津波の打ったり で、ごーほな人死のあっとったげなもんじゃけん。 |