初手物語[楓の紅葉]

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		楓の紅葉
		火事ん焼くる前ん年の秋にゃ、ほんにうちの楓の美しう紅葉したこつが、あんまり美しう紅葉したけん、紅葉見しぅち云うて紅葉見したたい。村ん学校の女先生達のみんな来なさって、お料理どんして、表のお座敷のお縁先のつは大っかつ一本じゃったばってん、お祖父っつぁんの若かころ、八女の鹿子生の霊岩寺から持って来て植えさったっげなが、ほんに美しか楓じゃった。奥の庭の方にも色々何本でん生えとって、みんな美しう紅葉したけん、奥のお座敵で紅葉見したったい。火事の後で、あげん美しう紅業したつは、火事の焼くる前兆じゃっつろたいちどん云うたこつじゃったたい。