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    アヤとヨシ
   
  アヤとヨシも女学校ばアヤが出る頃になって、どうでんいかんけん学校やめさせじゃこてち云よっ たりゃ、姉妹とほかにも誰かあった様子じゃったが、誰からか学資出して頂くち云うこつで、こ つちもおかげで卒業出けたたい。妹の方が卒業したなら、どなたからじゃりば話すけん、時々行っ てお掃除のお加勢どんしなさいち、大島校長さんの云うとんなさったけん、ヨシが卒業したけん お名前ばお尋ねするばってん、名前は知らせんち本人の云いなさるけんち、松尾校長さんのとう とう教えなさらじゃったたい。

  大島先生はなかなかアヤがお気に入りで、学資はどげんかするけん心配せんで、美術学校に行け ち云うて、そうにすすめなさった。卒業した年で、もう美術学校は入学時李もすんだあとで都合 のわるかったけん、来年ぜひ試験受くるごっち大島先生はすすめなさるばってん、ちょうど恒の 大学行きと一緒になるけん、いくら学資出して頂くにしてん、東京行きてん、色々費用もいろけ ん、やめて貰わじゃこてちアヤに云うたりゃ、絵の先生は坂本先生より外にゃいらんけん行かん ち、アヤは云うて行こでちゃせじゃったたい。

女学校でヨシゃどうろこうろの成績で行ったばってん、アヤは成績の良かつと、悪るかつと、二 つにハッキリ分れてしもて、それに学校抜け出して放水路に絵描き行ったてん、図書室に居って、 教室に出らんてん、わるさするたびに下坂(吉和先生)さんにほかの先生達の云いつけなさるけ ん何時でん、ほんに下坂さんにそうにご心配ばっかりかけよったたい。

下坂さんのアヤがこつについての手紙ば書いて、アヤにことづけてやんなさっと、そり知っとっ て、あたしにその手紙ばケロッとした顔して渡しょったたい。どげん云うたっちゃ効能なしで。 ほんに下坂さんにゃ、うちんこつでん、アヤがこつでん、ご心配ばかりかけ通しじゃった。よ うお世話して頂いたたい。


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